やなぎまつたけの空調栽培・ビン栽培法
【やなぎまつたけ】やなぎまつたけは菌傘よりも菌柄の旨さと歯触りを味わうきのこですが、原木での栽培が難しいことから、むしろビンやブロックでの栽培に適しています。空調栽培においては、他の人工栽培のきのこ類と比較して収量性の低いことが課題で、収量性を高めるための紙巻き操作がポイントとなります。やなぎまつたけの特長である、菌柄の食味性を最大限に発揮させるためには、出来る限り菌柄を長く、太い形状に仕上げるように栽培します。
◆やなぎまつたけの詳しい情報◆
品種
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培養日数
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特長
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販売品目
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東北-YN51号
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30日間
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淡褐色、普通、有効茎本数は普通 |
種菌850cc
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※当社で取り扱っておりますその他のきのこの品種に関しては、
こちらを御覧ください。
空調施設を利用した自然栽培法であるが、培養は自然温度下で管理するため、仕込み時期は3~5月に限定して行う。また、短木を殺菌して使用するため、殺菌終了後は必ず放冷室での冷却を心掛ける。
1、培地調製
・堆積したスギオガコを使用し、栄養源としては、フスマ:米ヌカ:ネオビタスHM=9:9:2(重量比)の割合で、培地総重量の20%となるように添加する。
1ビン当りの栄養源の添加量は、100~110g(850cc)が目安。
・含水率は、66~68%に調整する。
オガコ堆積場
2、充填
・培地の充填量は、850ccブロービンに480~500g/ビン(内容量)となるように充填する。
3、殺菌
・常圧殺菌は、培地内温度が98℃以上になってから、4時間継続する。
・高圧殺菌は、培地内温度が120℃に達してから、60分間(有効殺菌時間)保持する。
釜温度を目安とする場合には、90分間(850ccビン)の保持を実施する。
4、放冷
・必ずクリーンな環境下で、培地温度が20℃以下となるまで冷却する。常圧殺菌の場合には、培地の急冷に特に留意する。
・戻り空気による吸い込み汚染に注意する。
5、接種
・種菌の接種量は、1ビン当り15cc程度を目安とし、850cc種菌ビン1本当たりで約60本に接種する。
・接種作業は無菌操作に徹して、スピーディーに行う。
6、培養管理
・温度は、20~23℃で培養管理を行う。(ビン間温度を26℃以上にしない)
培養管理はビン間温度と室内との温度較差に留意し、ビン間温度での管理を基本とする。
・湿度は、65~75%で管理する。
・CO2濃度は、3,000ppm以下で管理する。
・照度は、極力暗黒培養で管理する。(点検時以外は照明不要)
・期間は、30~35日間。(品種により異なる)
7、菌掻き
・発芽の同調化を図る目的で、5~8mmの深さにブッ掻き法による菌掻きを実施する。(通常よりも深めの菌掻きがポイント)
・菌掻き後は、2~3時間の注水処理を行う。菌床への吸水操作は、高温となるような場所を避けて管理する。
・菌掻き機は、作業の都度必ず清掃と消毒を心がけ、専用の部屋を設けて実施する。(掻き出し作業との混同を避ける)
8、芽出し管理
・温度は、18~20℃で管理する。
・湿度は、90%以上で管理し、乾燥に注意する。
・CO2濃度は、2,000ppm以下で管理する。
・照度は、200Lux程度で、昼間のみの点灯管理とする。
・期間は、5~7日間で、倒立状態にて管理する。(被覆芽出しも可能)
9、紙巻き
・菌柄を出来るだけ長く生育させるために、原基がビン口から2~3cmの高さまで生長した時点で紙巻きを実施する。紙巻きには、ポリプロピレン製などの巻き紙を使用し、紙巻き後は、正立状態で管理する。
10、生育管理
・温度は、16~18℃で管理し、20℃以上には上げない。(25℃まで生育は可能であるが、害菌等の抑制目的で低めに管理する)
・湿度は、80~90%とやや乾燥気味に管理する。
・CO2濃度は、3,000ppm以下とやや高めに管理する。
・照度は、50~200Luxで、作業に支障のない最小限の点灯管理とする。
・期間は、紙巻き後、6~8日間管理する。
11、収穫
・菌傘に丸みが残っている状態(大きさ3~4cm)で、株ごと収穫する。内被膜が切れると商品価値が著しく低下することから、必ず膜切れ前の収穫を厳守する。
・菌掻き後から12~15日目で収穫が可能となる。
・発生量は、1ビン当たり100~120gの収穫が可能である。