株式会社キノックス

まんねんたけの自然栽培・原木栽培法(煮込み)

【まんねんたけ】
原木煮込み栽培まんねんたけの画像

まんねんたけの自然栽培における原木の煮込み栽培は、空調栽培と異なり簡易な施設での栽培が可能であることから、自宅で簡単に「薬効きのこ」を発生させることが出来ます。
・ 菌糸の最適伸長温度  : 28~30℃
・ きのこの最適発生温度 : 25~28℃
きのこの発生温度が25℃以上と高いことから、梅雨明け後から夏場にかけて良好に発生します。
◆まんねんたけの詳しい情報◆

品種
発生温度
特長
販売品目
まんねんたけ(早生)
20~30℃
大葉、柄太長、赤黄褐色

※現在、当品種は取り扱いを行っておりません。
※当社で取り扱っておりますその他のきのこの品種に関しては、
 こちらを御覧ください。

自然栽培におけるきのこの仕込み時期は、害菌の混入を防止する目的で、空気中の浮遊菌数の少ない2~4月に行う。特に、降雪量の少ない年は、殺菌終了後の放冷工程において害菌類が混入しないよう慎重に作業を行う必要がある。

1、原木の種類

ミズナラ、コナラ、ブナ、クリ等の広葉樹で、太さ15~30cmのやや太めのものが適当である。

 

2、伐採と玉切り

・伐採は、秋紅葉期から翌春新芽の出る頃までの休眠期に行う。
・原木は、出来るだけ生木の状態で使用する。
・玉切りは使用直前に行い、15~20cmの長さに切った後、出来るだけ早めに使用する。
・太いものは、袋に入る大きさとなるよう2~4ヶに割って使用する。
※玉切り後のタンニン等の「アク抜き」を目的とした浸漬操作は、不要である。

 

3、煮込み(殺菌)

・ドラム缶等を使用して原木の煮込みにより、殺菌を行う。
・煮込み時間は、水が沸騰してから4~5時間実施する。
※繰り返し煮込み殺菌を行う場合は、その都度水を入れ替える。
※煮込みの際は、米ヌカ等の栄養源添加は不要である。(害菌誘発の原因となる)。
原木煮込み図

 

4、袋詰め

・煮込み殺菌終了後、熱いうちに原木をフィルター付き栽培用ガゼット袋(0.053×200/320×445mm)に収容し、素早く袋口をセロテープで仮止めする。
※殺菌原木は害菌汚染を避けるため、消毒した厚手の手袋等を着用して熱いうちに素早
く袋内へ収容することがポイントである。(作業中の火傷に注意)
原木袋収容図



5、放冷

・消毒された清潔な室内で、原木の温度が20℃以下となるまで充分に冷却する。
・戻り空気による吸い込み汚染に注意する。
※オガコ培地と異なり、冷却速度が遅いことから、放冷不足に注意する。

 

6、接種

・袋口を開放し、種菌を全面にばら蒔くように接種する。
・850cc種菌1本で、15袋程度の接種が目安である。(1袋当たりの接種量は50~60ccと多めに接種する)
・接種終了後は、袋口を図のように折り込み、ホチキス止め(3ヵ所)を行い、完全に密封する。
原木接種図



7、培養

・培養期間は、3月下旬から7月中旬まで。
・温度管理は、5月中旬頃までの期間は出来るだけ保温(15℃目標)に努める。
※この間は菌糸の呼吸熱を利用して保温を図るように努める。
・5月中旬以降は、自然温度管理に移行する。(外気温15℃が目安)
※換気は呼吸熱が発生するようになるまでほとんど不要であるが、呼吸熱発生後は温度の上がり過ぎに注意(36℃以内、30℃で最も良く伸長)し、温度調整を兼ねて定期的に換気を行う。
・自然温度管理に移行した後は、直射日光を避け、通風良好な場所で埋め込み時期まで充分に熟成を図るよう管理する。


 

8、埋め込み

・赤褐色に着色した完熟榾木を袋より取り出し、水はけ良好で暖かく、若干乾燥気味な場所を選定して埋め込みを行う。
・ 埋め込み方法は単体、または数体の榾木をまとめて縦、あるいは横にして埋め込む。
・ 覆土は2~3cmとし、更に上面を落ち葉等で被覆する。(砂土、粘土の覆土は避ける)
・ 7月下旬までには埋め込みを完了する。(原基形成を確認するまで、日除けは不要)
・ 埋め込み作業は、まんねんたけが自然発生する1ヶ月前までには終了させる。
※煮込み栽培は、菌糸蔓延や腐朽速度が早いことから、仕込み年度内での発生が可能である。
まんねんたけ原木埋め込み写真



 

9、発生

まんねんたけ原木発生画像
ハウスでの発生

まんねんたけ植木鉢発生画像
植木鉢での発生

・8月上旬頃より発生を開始する。(地域により発生時期は異なる)
・最低気温が20℃を下回らなくなった頃から発生を開始し、25~28℃で最も良好に生育する。
・原基の形成を確認後は、寒冷紗等による日除けを設置し、きのこへの直接散水は控える。
・原基形成確認後、1~2ヶ月かけて充分に成熟させてからきのこを収穫する。
・きのこの収穫は、傘周縁部の色が黄白色から茶褐色に変色し、裏面の管孔色が黄色から白色に変化する前が適期である。(若いきのこは、収穫後に収縮することから、充分に硬くなった状態での収穫を心がける。)
・きのこの形状は環境条件で異なり、暗い場所では傘が小さく、柄の長い、枝分かれの多いきのことなる。
・収穫したきのこは、傘上面の胞子や土などを水で洗い流し、乾燥機等を使用して完全に乾燥させてから保存する。
まんねんたけ(生育途中)
生育途中(傘の周縁部が白色)

まんねんたけ(収穫適期)
収穫適期(周縁部が黄褐色に変色)

 

 

10、発生終了後の管理

・まんねんたけは硬質きのこであるが、1年で寿命を終えることから、翌年に持ち越さずに採り切りとする。(胞子の飛散後は、きのこは生長しない)
・寒冷紗等の日除けを取り外し、露出榾木の覆土補修を行う。
・きのこ収穫後の残骸を処理し、害菌感染の榾木を掘り起こして処分する。
・発生年数は、榾木の太さによっても異なるが、2~3年間は発生可能である。(まんねんたけは、他のきのこ類に比べ榾木寿命が短い)

 

 

11、きのこのツヤ出し方法

・薬用として使用する場合には不要であるが、観賞用の場合にはツヤ出し処理を行う。
・ツヤ出しは、耐熱性のポリ袋にきのこを入れ(直接処理も可)、蒸し器等で20~30分間蒸気処理することで行う。
・蒸し時間によって色の濃淡が生じ、処理時間が長いと色は黒味を帯びるようになる。
まんねんたけツヤ出し処理
ツヤ出し処理を行ったまんねんたけ

まんねんたけアート画像
観賞用としてのまんねんたけアート


 

■ご注意! きのこ種菌の拡大培養は種苗法により禁じられております。