まいたけの自然栽培・原木栽培法(短木)
【まいたけ】まいたけの自然栽培は、しいたけやなめこのように直接原木に種菌を接種しても菌糸が蔓延しないことから、これまでは困難とされておりました。しかし、原木を殺菌して栽培する方法が開発されるようになってからは、比較的容易に人工栽培が出来るようになりました。大型で、より天然に近いまいたけが収穫出来ることから、本物志向の栽培法として、人気が高まって来ております。栽培にあたっては、収穫期間が多年に渡ることから、排水等を考慮した埋め込み場所の選定が重要となります。
◆まいたけの詳しい情報◆
品種
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発生温度
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特長
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販売品目
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東北MA52号(中生)
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14~18℃
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中葉、厚肉、濃黒褐色 |
種菌850cc
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KX-MA59号(早生)
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16~20℃
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中葉、中肉、濃黒褐色 |
種菌850cc
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※当社で取り扱っておりますその他のきのこの品種に関しては、
こちらを御覧ください。
空調施設を利用した自然栽培法であるが、培養は自然温度下で管理するため、仕込み時期は3~5月に限定して行う。また、短木を殺菌して使用するため、殺菌終了後は必ず放冷室での冷却を心掛ける。
1、原木の種類
・ミズナラ、コナラ、ブナ、クリ等の広葉樹で、太さ15~30cmのやや太めのものが適当である。
2、伐採と玉切り
・伐採は、秋紅葉期から翌春新芽の出る頃までの休眠期に行う。
・原木は、出来るだけ生木の状態で使用する。
・玉切りは使用直前に行い、15~20cmの長さに切った後、出来るだけ早めに使用する。(乾燥に注意)
・太いものは、袋に入る大きさとなるよう2~4ヶに割って使用する。
※玉切り後のタンニン等の「アク抜き」を目的とした浸漬作業は、不要である。
3、上乗せ培地の調製
・菌糸の活着を促進する目的で、上乗せ培地を調製する。
(培地調製)
オガコ:フスマ=10:2(容量比)
重量比の場合は、オガコ:フスマ=9:1(水を加えた培地総重量比率で10%)
含水率:62~63%(片手で握って指間から水が滲出する程度)
・培地調製量は、1袋当たり約300cc(上下2ヶ所に2cm程度の厚さ)を目安とする。
4、袋詰め
・フィルター付の栽培用ガゼット袋(0.053×200/320×445mm)、又は通常の栽培袋の場合には、専用キャップを使用して栽培を行う。
・袋底部からの発菌、並びに原木による袋の破損を防止する目的で、最初に2cm程度の厚さとなるよう上乗せ培地を袋に入れる。
・玉切り原木を縦にして袋に収容する。
・原木の上部に2cm程度の厚さとなるよう、再度上乗せ培地を充填する。
・袋口をセロテープ等で仮止めする。(キャップの場合はキャップをセットする)。
5、殺菌
・袋詰めした原木を蒸気殺菌する。
・常圧殺菌の場合は、釜内温度が98℃に達してから4時間、高圧殺菌の場合は、釜内温度120℃で90分間実施する。
6、放冷
・消毒された清潔な室内で、原木の温度が20℃以下となるまで充分に冷却する。
・戻り空気による吸い込み汚染に注意する。
※オガコ培地と異なり、冷却速度が遅いことから、放冷不足に注意する。
7、接種
・袋口を開放し、種菌を全面にばら蒔くように接種する。
・850cc種菌1本で、20袋程度の接種が目安である。(1袋当たりの接種量は40~50cc)
・接種終了後は、袋口を写真のように折り込み、ホチキス止め(3ヵ所)を行い、完全に密封する。(専用キャップ使用の場合は、接種後、上蓋をねじ込むようにしっかりと施蓋する)
8、培養
・培養期間は、3月上旬から8月上旬まで。
・温度管理は、5月中旬頃までの期間は出来るだけ保温(15℃目標)に努める。
※この間は菌糸の呼吸熱を利用して保温を図るように努める。
・5月中旬以降は、自然温度管理に移行する。(外気温15℃が目安)
※換気は呼吸熱が発生するようになるまでほとんど不要であるが、呼吸熱発生後は温度の上がり過ぎに注意(28℃以内)し、温度調整を兼ねて定期的に換気を行う。
・自然温度管理に移行した後は、直射日光を避け、通風良好な場所で埋め込み時期まで充分に熟成を図るよう管理する。
9、埋め込み
・赤褐色に着色した完熟榾木を袋より取り出し、水はけ良好で暖かく、若干乾燥気味な場所を選定して埋め込みを行う。
・埋め込み方法は単体、あるいは数体の榾木をまとめて横にして埋め込む。(縦埋めも可能であるが、初年度発生が少ない傾向にある)
・覆土は2~3cmとし、更に上面を落ち葉等で被覆する。(砂土、粘土の覆土は避ける)
・梅雨明け後の7月下旬までには埋め込みを完了する。(埋め込み後は原基形成を確認するまで、日除けは不要)
・埋め込み作業は、まいたけが自然発生する1ヶ月前までには終了させる。
※榾木の埋め込みの際には、両木口面の上乗せ培地に蔓延した菌床をそのまま埋め込むようにする。
※菌糸蔓延の不良な原木は、翌年の6月以降の埋め込みとする。(完熟榾木状態での埋め込みがポイント)
10、発生
・9月中旬頃より発生を開始する。(地域により発生時期は異なる)
・最低気温が15℃を下回るようになったら、夕方散水を行い、地温の低下と保湿を図る。
・原基の形成を確認後は、寒冷紗等による日除けと雨除けを設置し、きのこへの直接散水は控える。
・原基形成確認後、2週間程度できのこの収穫が可能となる。
・菌傘が大きく生長し、裏面に管孔が形成されるようになる前に収穫する。
11、発生終了後の管理
・寒冷紗等の日除けを取り外し、露出榾木の覆土補修を行う。
・きのこ収穫後の残骸を処理し、害菌感染の榾木は掘り起こして処分する。(消石灰を散布して埋め戻す)
・発生年数は、榾木の太さによっても異なるが、4~6年間は発生可能である。