きのこの豆知識・その3 きのこの食味 栽培しているきのこと自然に生えているきのこを食べ比べた場合、やはり美味しいのは自然のきのこです。同じ種類のきのこであっても自然のきのこは昼と夜の温度較差が大きい環境下で育つため、大きく生長するためには時間がかかります。ゆっくり時間をかけて生長したきのこは、同じ種類であっても食べて美味しく感じます。 その原因は、「旨み」成分の含有量の違いもあるのですが、むしろそれよりも傘の肉の厚さと硬さが影響しているようです。一般的には、歯ごたえのあるきのこを美味しいと感じる傾向にあります。オガクズを使用した人工(菌床)栽培のきのこ(原木栽培は別)は、15℃前後のほぼ一定の温度環境下で生長するため、どうしても肉質が軟らかくなってしまいます。 しかし、「旨み」成分に関しては、人工栽培のきのこは培地へ天然のきのこよりも栄養価の高い養分を添加して栽培することから、旨み成分の含有量が多くなる傾向にあります。それゆえ、「旨み」成分の量に関しては、人工(菌床)栽培きのこの方が多いと言えます。 歯ごたえで評価するか、旨みで評価するかで、味覚の判断は分かれそうです。ちなみに、原木栽培のきのこに関しては、菌床栽培のように特別な栄養源を添加せずに原木の養分をそのまま利用し、自然の環境温度を利用して時間をかけて生育させることから、自然のきのこにより近い食味・食感となっています。 なお、きのこをさらに美味しく食べるためのコツは、一度冷凍させてから調理に使用することです。きのこの旨味成分は「グアニル酸」ですが、細胞の中では「核酸」が酵素(ヌクレアーゼ)で分解されることで生成されるようになります。核酸からグアニル酸に変化するためには細胞が破壊されることが必要で、冷凍したきのこを解凍することで細胞が破壊され、さらに調理の際の加熱工程でグアニル酸が生成されるようになるのです。きのこの凍結処理は野菜と異なり「ブランチング(下茹で)」処理は不要ですので、石突きを取り除いてから小分けして袋に入れ、茹でずにそのまま凍結します。 さらには、分解酵素が最もよく働く温度帯が70℃前後であることから、同温度帯をできるだけ長く保持するような調理を心がけることで、なお一層きのこの美味しさを引き立てることができるようになります。酵素の働きを利用して旨味を醸し出す訳ですので、くれぐれも凍ったまま熱湯に放り込むことのないよう、必ず水から茹でるように注意してください。また、凍結したきのこは解凍すると、ドリップと一緒に旨味も抜け出してしまいますので、凍った状態でそのまま使用して下さい。なお、きのこの種類によっては、凍結処理することで旨味成分は増加するのですが、歯応えが悪くなってしまい食味が劣るものや変色して見た目が悪くなるものもありますので、きのこによっての使い分けが肝要です。きのこの冷凍保存の適否 冷凍に適するきのこ 冷凍に不適なきのこ しいたけ なめこ エリンギ ひらたけ あらきくらげ はたけしめじ やなぎまつたけ くりたけ むきたけ ぶなはりたけ ぶなしめじ えのきたけ まいたけ まつたけ たもぎたけ うすひらたけ やまぶしたけ ※きのこは種類に関係なく、全て冷凍することで旨味が増加します。しかし、種類によっては歯応えが悪くなったり、変色してしまうものがあるため、そのようなきのこを「不適」と判断しました。 ◆ きのこの豆知識 目次ページへ戻る ◆
きのこの食味
栽培しているきのこと自然に生えているきのこを食べ比べた場合、やはり美味しいのは自然のきのこです。同じ種類のきのこであっても自然のきのこは昼と夜の温度較差が大きい環境下で育つため、大きく生長するためには時間がかかります。ゆっくり時間をかけて生長したきのこは、同じ種類であっても食べて美味しく感じます。
その原因は、「旨み」成分の含有量の違いもあるのですが、むしろそれよりも傘の肉の厚さと硬さが影響しているようです。一般的には、歯ごたえのあるきのこを美味しいと感じる傾向にあります。オガクズを使用した人工(菌床)栽培のきのこ(原木栽培は別)は、15℃前後のほぼ一定の温度環境下で生長するため、どうしても肉質が軟らかくなってしまいます。
しかし、「旨み」成分に関しては、人工栽培のきのこは培地へ天然のきのこよりも栄養価の高い養分を添加して栽培することから、旨み成分の含有量が多くなる傾向にあります。それゆえ、「旨み」成分の量に関しては、人工(菌床)栽培きのこの方が多いと言えます。
歯ごたえで評価するか、旨みで評価するかで、味覚の判断は分かれそうです。ちなみに、原木栽培のきのこに関しては、菌床栽培のように特別な栄養源を添加せずに原木の養分をそのまま利用し、自然の環境温度を利用して時間をかけて生育させることから、自然のきのこにより近い食味・食感となっています。
なお、きのこをさらに美味しく食べるためのコツは、一度冷凍させてから調理に使用することです。きのこの旨味成分は「グアニル酸」ですが、細胞の中では「核酸」が酵素(ヌクレアーゼ)で分解されることで生成されるようになります。核酸からグアニル酸に変化するためには細胞が破壊されることが必要で、冷凍したきのこを解凍することで細胞が破壊され、さらに調理の際の加熱工程でグアニル酸が生成されるようになるのです。きのこの凍結処理は野菜と異なり「ブランチング(下茹で)」処理は不要ですので、石突きを取り除いてから小分けして袋に入れ、茹でずにそのまま凍結します。
さらには、分解酵素が最もよく働く温度帯が70℃前後であることから、同温度帯をできるだけ長く保持するような調理を心がけることで、なお一層きのこの美味しさを引き立てることができるようになります。酵素の働きを利用して旨味を醸し出す訳ですので、くれぐれも凍ったまま熱湯に放り込むことのないよう、必ず水から茹でるように注意してください。また、凍結したきのこは解凍すると、ドリップと一緒に旨味も抜け出してしまいますので、凍った状態でそのまま使用して下さい。なお、きのこの種類によっては、凍結処理することで旨味成分は増加するのですが、歯応えが悪くなってしまい食味が劣るものや変色して見た目が悪くなるものもありますので、きのこによっての使い分けが肝要です。
きのこの冷凍保存の適否
なめこ
エリンギ
ひらたけ
あらきくらげ
はたけしめじ
やなぎまつたけ
くりたけ
むきたけ
ぶなはりたけ
えのきたけ
まいたけ
まつたけ
たもぎたけ
うすひらたけ
やまぶしたけ
※きのこは種類に関係なく、全て冷凍することで旨味が増加します。しかし、種類によっては歯応えが悪くなったり、変色してしまうものがあるため、そのようなきのこを「不適」と判断しました。