きのこの雑学・エリンギの雑学 分類学的位置について 最近すっかり市民権を得るようになり、スーパーでも馴染みとなったニューフェイスのきのこですが、国内のきのこ図鑑を開いても登場することのない「エリンギ」と呼ばれるきのこについて説明したいと思います 。 そもそもエリンギと呼ばれるきのこは、そのカタカナ和名が示すように日本に自生するきのこではなく、元々ヨーロッパ、中央アジア、ロシア南部、北アフリカ等の草原地帯に生息しているため、我々日本人には馴染みのないきのこなのです。分類学上はヒラタケ属の近縁種であり、正式学名は「Pleurotus eryngii Quel」で、学名の由来はホスト植物(宿主)であるEryngium campestre (日本には自生しないセリ科植物でヒゴタイサイコ属の刺のある草本植物)に因んだものです。野生きのこの形状はヒラタケとシイタケとの「合いの子」のような形をしており、シイタケの形をしたヒラタケと言った感じのきのこです。分類学的には真菌門、担子菌亜門、真正担子菌綱、帽菌亜綱、ハラタケ目、ヒラタケ科、ヒラタケ属のきのこで、木材腐朽能力を持っている腐生菌です。「エリンギ」の和名採用は日本には自生しないきのこであることから、その学名(種小名)をそのままカタカナ読みすることで、平成10年の種苗法改正時に正式に命名されました。 エリンギの野生子実体の本来の形態的特性は傘が大きく、「しいたけ」に近い形状ですが、人工栽培のきのこは室内栽培用に都合の良いよう傘を小さくして柄を長くした形に改良して栽培されています。もともとPleurotus eryngiiの仲間のきのこには分類学上3つの仲間があると言われています。ドイツのHILBERによれば、寄主植物の種類によりP.eryngii、P.nebrodensis、P.ferulaの3種に区分され、この3種が和合性の検定により部分的に交配可能な「変種」であることが判明しています。因みに、「バイリング(白霊菇)」は最近の研究で、P.eryngiiとは別種で、中国の特定の地域で独立的に進化したきのこで、前述の3種類のきのことは変則的ではありますが、一部交配することが判明しています。 ◆ きのこの雑学 目次ページへ戻る ◆
分類学的位置について
最近すっかり市民権を得るようになり、スーパーでも馴染みとなったニューフェイスのきのこですが、国内のきのこ図鑑を開いても登場することのない「エリンギ」と呼ばれるきのこについて説明したいと思います 。
そもそもエリンギと呼ばれるきのこは、そのカタカナ和名が示すように日本に自生するきのこではなく、元々ヨーロッパ、中央アジア、ロシア南部、北アフリカ等の草原地帯に生息しているため、我々日本人には馴染みのないきのこなのです。分類学上はヒラタケ属の近縁種であり、正式学名は「Pleurotus eryngii Quel」で、学名の由来はホスト植物(宿主)であるEryngium campestre (日本には自生しないセリ科植物でヒゴタイサイコ属の刺のある草本植物)に因んだものです。野生きのこの形状はヒラタケとシイタケとの「合いの子」のような形をしており、シイタケの形をしたヒラタケと言った感じのきのこです。分類学的には真菌門、担子菌亜門、真正担子菌綱、帽菌亜綱、ハラタケ目、ヒラタケ科、ヒラタケ属のきのこで、木材腐朽能力を持っている腐生菌です。「エリンギ」の和名採用は日本には自生しないきのこであることから、その学名(種小名)をそのままカタカナ読みすることで、平成10年の種苗法改正時に正式に命名されました。
エリンギの野生子実体の本来の形態的特性は傘が大きく、「しいたけ」に近い形状ですが、人工栽培のきのこは室内栽培用に都合の良いよう傘を小さくして柄を長くした形に改良して栽培されています。もともとPleurotus eryngiiの仲間のきのこには分類学上3つの仲間があると言われています。ドイツのHILBERによれば、寄主植物の種類によりP.eryngii、P.nebrodensis、P.ferulaの3種に区分され、この3種が和合性の検定により部分的に交配可能な「変種」であることが判明しています。因みに、「バイリング(白霊菇)」は最近の研究で、P.eryngiiとは別種で、中国の特定の地域で独立的に進化したきのこで、前述の3種類のきのことは変則的ではありますが、一部交配することが判明しています。