株式会社キノックス

きのこ驚きの秘密・その2

傘の不思議な形

一般的なきのこの傘の形は、下側が平らで上側が丸く盛り上がった構造をしていますが、この傘の形は飛行機の羽と同様の断面構造で、揚力が働きやすい形となっているのです。すなわち、胞子を形成する平らなヒダ側に上昇気流が生じる構造となっており、胞子を出来るだけ遠くまで飛ばすためにきのこが編み出した「傘」の形状なのです。
 それゆえ、「きのこ形」でない「きくらげ」などに代表されるきのこは、しいたけなどのように「ヒダ」のあるきのことは異なり、菌傘裏面(毛のない平滑な面)のシワ状の凹凸表面部分で胞子を直接形成しますが、あまり遠くまでは飛ばないようで、自分の傘の上に落下してしまい、その場で発芽することが多いようです。キクラゲ類の胞子を形成する「担子器」は「多室担子器」と呼ばれ、しいたけなどの「単室担子器」と比べ構造的には原始的な形で、子のう菌類から担子菌類への進化の中間形状だと言われております。



(飛行機の翼の構造)

 飛行機の翼は、上面の緩やかなカーブと下面の平らなラインで構成されており、上面の速い風の流れにより圧力が下がる(ベルヌーイの定理)ことで、下から上へ持ち上げるように「揚力」が働く構造となっている。


(きのこの傘の構造:主にハラタケ目)

 飛行機の翼と同様、風の速度の違いにより生じた圧力の差を利用して、下面(ヒダ)から上面へ向かって生じる「揚力」により、胞子を遠くまで飛ばすことができる。



(担子器の形)