株式会社キノックス

やまぶしたけの自然栽培・原木栽培法(短木)

【やまぶしたけ】
原木栽培やまぶしたけの画像
やまぶしたけの自然栽培は、しいたけやなめこのように直接原木に種菌を接種する方法でも栽培は可能でありますが、腐朽力が遅いことから、発生量が少なく、しかも発生する子実体も小型化する傾向にあるため、一般的には原木を殺菌して栽培する方法が適しております。菌床栽培に比べ、肉質の硬い、大型のきのこが収穫でき、薬効面でも注目されるきのこであることから、栽培人気の高まって来ているきのこです。栽培にあたっては、秋のみでなく、春から初夏にかけてもきのこを収穫することが出来ます。
◆やまぶしたけの詳しい情報◆

品種
発生温度
特長
販売品目
KX-YB044号(中生)
10~15℃
淡白桃色・針太短・球塊中型
種菌850cc

※当社で取り扱っておりますその他のきのこの品種に関しては、
 こちらを御覧ください。

空調施設を利用した自然栽培法であるが、培養は自然温度下で管理するため、仕込み時期は3~5月に限定して行う。また、短木を殺菌して使用するため、殺菌終了後は必ず放冷室での冷却を心掛ける。

 

1、原木の種類

・ミズナラ、コナラ、ブナ、カシ等の広葉樹で、太さ12~20cmの栽培袋に収容可能な太さのものが適当である。

 

2、伐採と玉切り

・伐採は、秋紅葉期から翌春新芽の出る頃までの休眠期に行う。
・原木は、出来るだけ生木の状態で使用する。
・玉切りは使用直前に行い、15~20cmの長さに切った後、出来るだけ早めに使用する。
※榾木の半分程度を埋め込む栽培法であるため、割らないと袋に入らないような太い原木は、使用を避ける。

 

3、上乗せ培地の調製

・菌糸の活着を促進する目的で、上乗せ培地を調製する。
(培地調製)
  オガコ:フスマ=10:2(容量比)
  重量比の場合は、オガコ:フスマ=9:1(水を加えた培地総重量比率で10%)
  含水率:62~63%(片手で握って指間から水が滲出する程度)
・培地調製量は、1袋当たり約300cc(上下2ヶ所に2cm程度の厚さ)を目安とする。

  接種孔は深めにあけ、種駒の間に5~10mm程度空間を持たせるようにする。

 

4、袋詰め

・フィルター付の栽培用ガゼット袋(0.053×200/320×445mm)、又は通常の栽培袋の場合には、専用キャップを使用して栽培を行う。
・袋底部からの発菌、並びに原木による袋の破損を防止する目的で、最初に2cm程度の厚さとなるよう上乗せ培地を袋に入れる。
・玉切り原木を縦にして袋に収容する。
・原木の上部に2cm程度の厚さとなるよう、再度上乗せ培地を充填する。
・袋口をセロテープ等で仮止めする。(キャップの場合はキャップをセットする)。
袋口仮止め画像
原木口封じ法

 

5、殺菌

・袋詰めした原木を蒸気殺菌する。
・常圧殺菌の場合は、釜内温度が98℃に達してから4時間、高圧殺菌の場合は、釜内温度120℃で90分間実施する。
常圧殺菌釜

 

6、放冷

・消毒された清潔な室内で、原木の温度が20℃以下となるまで充分に冷却する。
・戻り空気による吸い込み汚染に注意する。
※オガコ培地と異なり、冷却速度が遅いことから、放冷不足に注意する。

 

7、接種

接種画像
・袋口を開放し、種菌を全面にばら蒔くように接種する。
・850cc種菌1本で、20袋程度の接種が目安である。(1袋当たりの接種量は40~50cc)
袋口折り込み画像
・接種終了後は、袋口を写真のように折り込み、ホチキス止め(3ヵ所)を行い、完全に密封する。(専用キャップ使用の場合は、接種後、上蓋をねじ込むようにしっかりと施蓋する)
原木接種図

 

8、培養

・培養期間は、3月上旬から8月上旬まで。
・温度管理は、5月中旬頃までの期間は出来るだけ保温(15℃目標)に努める。
※この間は菌糸の呼吸熱を利用して保温を図るように努める。
・5月中旬以降は、自然温度管理に移行する。(外気温15℃が目安)
※換気は呼吸熱が発生するようになるまでほとんど不要であるが、呼吸熱発生後は温度の上がり過ぎに注意(27℃以内)し、温度調整を兼ねて定期的に換気を行う。
・自然温度管理に移行した後は、直射日光を避け、通風良好な場所で埋め込み時期まで充分に熟成を図るよう管理する。
※やまぶしたけは菌糸が原木全体に蔓延しなくとも、種菌部分から子実体を発生させる特性があることから、自然温度管理へ移行後に子実体が発生した場合には、袋口より発生したきのこを除去する。(収穫後の虫の侵入に注意)

 

9、埋め込み

・完熟榾木を袋より取り出し、水はけ良好な場所を選定して埋め込みを行う。
・埋め込み方法は榾木を縦にして、榾木の高さの半分程度を目安に埋め込む。
・埋め込み終了後は、地表面を落ち葉等で被覆し、全体を寒冷紗等で覆って日除けを行う。(林内に埋め込みの場合は、きのこが発生するまで被覆は不要)
・8月上旬までには埋め込みを完了する。(やまぶしたけが自然発生する1ヶ月前までには終了)
やまぶしたけ榾木埋め込み画像
※榾木の埋め込みの際には、両木口面の上乗せ培地に蔓延した菌床をそのまま埋め込んでも支障はない。
・埋め込み終了後は直ちに散水を行い、その後週に1回程度の間隔で散水管理を継続する。(日中は避けて夕方に散水)

 

10、発生

・9月上旬頃より発生を開始する。(地域により発生時期は異なる)
・最低気温が18℃を下回るようになったら、散水回数を多くする。(毎夕方の散水)
・榾木表面にきのこの原基を確認後は、寒冷紗に雨除けを設置し、また、きのこへの直接散水は控える。(林内の場合は、この時点で雨除けを設置)
・原基形成確認後、10日間程度できのこの収穫が可能となる。
・菌傘の針が充分に生長し、胞子が飛散するようになる前に収穫する。
まいたけ発生画像
※やまぶしたけは秋のみでなく、春から初夏にかけても発生することから、年に2回の収穫が可能である。

 

11、発生終了後の管理

・きのこ収穫後の残骸を整理し、害菌感染の榾木があれば掘り起こして処分する。(消石灰を散布して埋め戻す)
・寒冷紗の雨除けを取り外し、覆土等の補修を行い、翌年5~6月の発生に備える。(林内の場合は雨除けを撤収)
・発生年数は、榾木の太さによっても異なるが、3~4年間は発生可能である。

 

 

 

 

 

■ご注意! きのこ種菌の拡大培養は種苗法により禁じられております。