株式会社キノックス

きのこの豆知識・その5

注目の薬用きのこ マンネンタケ

薬効きのこと言えば、何と言っても元祖はやはりマンネンタケ(霊芝)です。マンネンタケは、中国名で「霊芝」と呼ばれ、薬用きのこの王者として古くから中国を始め日本でも愛用され、きのこの抗腫瘍作用を世に知らしめる原動力となったきのこです。また、古代中国では薬用きのことしてのみならず、10万本の古木に2~3本しか採取できないような稀少きのことされてきたことから、宮中に霊芝が発生すると「天下泰平のしるしとして、祝宴を催した」と伝えられており、古くから吉兆きのことしても珍重されてきました。和名は、きのこを乾燥させると長年にわたり原型を保ったままであることから、「万年茸」と名付けられたのです。中国最古の薬物書である「神農本草経」(500年頃)には、上薬の最上品として「赤芝」、「黒芝」、「青芝」、「白芝」、「黄芝」、「紫芝」の6種類のマンネンタケが記載されています。日本でも奈良時代の「日本書紀」(720年)などに既に薬効の記載が見られるほどで、不治難病の特効薬としての最も古い薬用きのこであり、今でも民間薬の中では不動の座を占めています。
 分類学的には、マンネンタケ科マンネンタケ属のきのこで、初夏から夏にかけて雑木林や果樹園の広葉樹の切り株や立ち枯れ木などから発生する、ヒダナシタケ類のきのこです。傘の形は不規則で、一般的には円形や腎臓形をしており、傘の表面はニス様の光沢があり、傘が小さく柄が長く伸びるのが特長で、肉質はコルク質で硬く、特有の強い苦味があります。
 マンネンタケはガンを治療するきのこ(β-グルカンを含有)として広く知られていますが、最近の研究では、苦味成分である「トリテルペン類」に抗アレルギー作用、血圧降下作用、コレステロール・中性脂肪降下作用など、様々な生活習慣病を予防する効果のあることも解明されました。日本での人工栽培の研究は1937年に京都大学で始まり、1971年には量産化技術の開発にも成功しています。
 意外なことに、この霊験あらたかな名前の「霊芝」は、医薬品として扱われずに「健康食品」の範疇に留まっています。その理由は、マンネンタケは同一品種であっても温度や湿度、あるいは炭酸ガス濃度や光などの生育環境条件の違いにより、発生するきのこの形状や成分に違いを生じてしまうからなのです。機能性きのことして特定成分を安定的に生産させることは、天然のきのこを対象としていたのでは極めて至難の業であるため、人工栽培化に向けた技術開発が求められるようになりました。それゆえ、医薬品ではない「薬用きのこ類」を購入する際には、成分の安定化を期するためにも、できるだけ品種や原材料、更には栽培方法の一定化したものを選ぶことが大切なのです。

マンネンタケ画像