株式会社キノックス

きのこの豆知識・その3

地球上で最大と最小のきのこ

【質問】
 地球上の最大の生物はナラタケ(菌糸体)だと言われていますが、最小のきのこは何ですか?


【答え】
 もともと「きのこ」と「カビ」は同じ仲間ですが、大きさで区別しています。
 すなわち、肉眼で確認できる大きさの菌類が「きのこ」で、顕微鏡を使用しないと確認できないものが「カビ」という区別になります。
 地球上の最大の生物は、DNA鑑定で生物を調べられるようになったことで、アメリカの森林に生息するナラタケの仲間(アルミラリア・ブルボーサ=ワタゲナラタケ近縁種)のきのこであることは、よく知られています。1992年のNature誌には推定年齢が約1,500年、菌糸束の広がりは15ha(東京ドーム約3個分)、重量は約10tと報告されています。世界最大生物とは言っても1個の菌糸体が1,000年以上も行き続けたという訳ではなく、同じ菌糸体に由来する遺伝的に同一の菌糸が入れ替わりを繰り返しながら、森の中で生長を続けたということなのです。一般的に若い樹齢の外生菌根菌の寿命は、1~5年と短命であり、古い樹木になるほど菌糸寿命が長くなる傾向にあります。そのため、菌糸体の寿命は、共生する樹木の年齢と生育環境に大きく影響されることから、病害性(寄生)の強いナラタケではなく、樹病性のないナラタケ(ワタゲナラタケ)の生育する森の環境がすこぶる良かったために生き延びることができたものと思われます。
 それでは、最小のきのこということになると、特定は極めて難しいのですが、「カビ」の仲間に近いグループとして、植物の病気の原因となる「植物寄生菌類」や粘菌に代表される「変形菌類」が当てはまるのではないかと思われます。


「アルミラリア・ブルボーサ」と同一とされる日本のワタゲナラタケ