株式会社キノックス

きのこ驚きの秘密・その1

イワタケ(岩茸)

「イワタケ」と言うきくらげ状のきのこを見たことがあるのですが、本当にきのこなのでしょうか?
 実は、イワタケ(岩茸)は菌類と藻類との共生体の植物である「地衣類」の一種であり、きのこではありません。その本体は菌類ですが、体の中に栄養分を作り出す「藻類」と共生していることから、体内の藻類が光合成によって作り出した栄養分を吸収して生活しているのです。イワタケは山の断崖絶壁に着生し、日光による光合成と霧による湿度を源として生息します。このような厳しい環境を選ぶのは、生長速度が非常に遅いため、養分の取り合いを巡っての他の植物との争いを避けるための生存手段を選択した結果なのです。日本での生育範囲は、北海道から九州に至るまでの広範囲に及び、種類も18種ほどが確認されていますが、世界では50種ほどに及ぶと言われております。
 生育には非常に長い期間を要するため、大きさはまちまちですが、大きいものは15cm(生育に数十年を要する)を越すものもあると言われ、特有の香りがあって、乾燥状態であれば何年でも保存ができます。
 イワタケは前述の通り、山の断崖絶壁に生息しているため、見つけることが非常に難しく、採取にも大きな危険を伴います。登山者のように上から命綱を吊って、崖にぶら下がりながら手でむしり採るようにして収穫する、まさに命懸けの高級食材なのです。