株式会社キノックス

きのこの雑学・ぶなしめじの雑学

商品名称について

「ぶなしめじ」はキシメジ科シロタモギタケ属のきのこで、以前は、「しろたもぎたけ」の別名とされた時期があったことから、一時「しろたもぎたけ」と呼ばれたことがありました。しかし、両者は別種のきのこであるとの指摘を受け、現在、人工栽培されている品種は、正式に「ぶなしめじ」と同定されるようになっています。
 本格的に人工栽培されるようになった昭和53年に、形状や食味が菌根菌のホンシメジ(Lyophyllum shimeji)に似ていることから、「ほんしめじ」の商品名で販売されるようになったのです。この商品名と販売価格の好調性から急激に生産量は増加して行くのですが、広く知られるようになるにつれ、「ほんじめじ」と言う商品名称が問題視されるようになり、消費者の混乱を招く結果となってしまうのです。本来「シメジ」と言えは、野生の「ホンシメジ」を指すのですが、「ぶなしめじ」よりも栽培の歴史の古い「ひらたけ」が既に産地名を付けて「○○シメジ」として販売されていたことから、その差別化を図る意味で長野県産の「ぶなしめじ」が「やまびこほんしめじ」の商標名で大量に流通するようになりました。その結果、「ぶなしめじ」の歯ごたえの良さと日持ちの良さ、更にはネーミング効果もあって、「ひらたけ」市場を一気に席巻し、「しめじ」と言えば「ぶなしめじ」と言われるまでに生産量が急増して行ったのです。しかし、天然の「ほんしめじ」と誤解を招くような名称であったことから、消費者団体から名称詐称の指摘を受けたことや品質表示の適正化に関するJAS法の改正を機会に、分類学的特性に基づいた現在の和名(商品名)が採用されるようになったと言う、まさに名前が2転、3転した経緯を持つきのこなのです。