株式会社キノックス

きのこの雑学・はたけしめじの雑学

人工栽培の歴史について

「はたけしめじ」はこれまでホンシメジ同様、菌根菌の仲間のきのこと 考えられてきたことから、人工栽培は不可能と思われていました。しかし、菌根菌と腐生菌の中間型であることが判明してからは、民間企業や公設試験研究機関などで平成4年頃から人工栽培化に向けた研究が活発に行われるようになり、特に三重県の製紙会社がこれまでの林木育種で培ったバイオテクノロジーの技術を活用して生物ビジネスの研究に着手し、平成10年10月に「はたけしめじ」の人工栽培に成功したことを新聞で発表してからは、急激に脚光を浴びるようになったのです。平成10年頃からは政府の統計資料にも記載されるようになり、少しずつではありますが生産量が伸びるようになりました。そのような生産環境の中、良食味性と機能性に着目した酒造メーカーが平成15年に京都府に大規模生産施設を建設したことで、平成16年には生産量が一気に増大して1,000tの大台にまで達するようになったのです。その後順調に生産量が伸びて行ったのですが、平成20年の約3,000tをピークに、それ以降1,600t台で推移しています。生産量が伸び悩んでいる要因としては、生産ピーク時にホンシメジの人工栽培が成功して本格的に栽培されるようになったことで、消費者の関心が削がれてしまったことと菌株の性能維持の困難性にあると言えます。ホンシメジに比べて比較的安価で購入できることと菌株性能維持のための保存技術が開発されてきていることから、これからの生産増が期待されるきのこのひとつだと言えます。